蝉日記。 想えばそれは予定された雨だった。二十四!。

僕は頑張って、勇気も出して女の子の家の呼鈴を押した。女の子に会いにやって来たのに、会って話しもして、自分の気持ちもはっきりさせて、想いも気持ちも伝えたくてやってきたのに、何故か、今、誰も居ませんようにって願いながら呼鈴を押している。矛盾し…

蝉日記。 痛みも傷も知って。二十三!。

同じ街のこんな近くに、近所に、こんな女の子が居たなんて不思議に思う。こんな近くに年齢も近いこんな女の子が居たなんて知らなかった。 よく考えたらさっきも思ったけどこの団地に住んでるって事は僕と同じ小学校、中学校なんだ。でも見覚え無いな、どこか…

蝉日記。 人間の醜い所も汚さも。二十二!。

僕は知りたいと思った。女の子のこと全部知りたいと。もしかしたら、多くの男と寝てきた女の子のこと、知ってしまえば、全てを知ってしまえば、痛い、苦しさ、辛さが、嫉妬で狂ってしまったり、女の子を傷つけたり僕も傷ついたりしてしまう怖さはあったけど…

蝉日記。 傷だらけでも走れ!二十一!。

家で寝ている日が多くなる。部屋の中に閉じこもっている時間ばかりになっていく。必要な時にさえ外に出ない。抜け殻。 親はそんな僕を逆に喜んでいた。仕事もしないで部屋に閉じこもり引きこもりなのに、その方が盗みや犯罪、薬物もやらないし悪い仲間と付き…

蝉日記。 傷だらけの君。二十!。

僕だって昔、この場所が大好きで、この場所を暖かいと感じ、その暖かさに抱かれていた。だけど今、何かが違う。今、一年経って、少年院を出て初めてこの駐車場に来た時、懐かしいのに、その昔感じられたあの暖かさが感じられない。その空気が煩わしく、その…

蝉日記。 君の声も涙も届くよ!十九!。

女の子の事を時に、逆に、あんな誰とでも寝る女、何十人ともやってきた女が本当に気になるのか、好きな訳ないではないか、忘れろ、忘れろって自分に言い聞かせたりもする。男って狡いかな。そう、本当に狡い生き物だ。 好きな事をしていない約一年はすごく長…

蝉日記。 人間は本当は優しいはずだった。十ハ!。

少年院の官に言われる聞き飽きた言葉も、味の無い生命を繋ぐだけの食事も、他の少年達との対人関係も、その人間の醜さも、農場での作業も、厳しい強制運動も、身を切る冬の寒さにも、夏の暑さにも、全部に、潰されないように頑張った。 でも本当の意味で辛い…

蝉日記。 弱い人にも届け声!十七。

でも、この時調査官に投げつけた僕の言葉は、反抗心もあったけれど、本当は'救ってほしい'って気持ちの裏返しだった様に現在は想える。 そう、僕も救ってほしかったんだ。救ってほしい一人だったんだ。本音の声だったかもしれない。 そして、この時本当は調…

蝉日記。 頑張ってる人に届け声!十六。

「もしね、小学生くらいから人生やり直せるなら、こう言う事考えるの自体が後悔してる人生って事だけど、僕はもし、やり直せるならもう、中学校に入っても不良になんてならないで、これは嘘でなく本心で、冗談でも無い、一生懸命勉強してさ、高校行って大学…

蝉日記。  太陽も月も。十五!。

「君なんか、まだ若い、十六歳だろ。十分に人生をやり直せる。大人になって悪い事をして五十歳や六十歳になって刑務所に何度も入っている人達の中にもほんの僅かだがやり直そうとしている人達がいる。人生は五十歳からでも六十歳からでも'遅い'なんて事は絶…

蝉日記。  十四。人間な想え!。

同じ集団部屋に入れられていた一人の少年は、 「強姦するのが一番楽しい。」 そう言っていた。その時は'気狂いか、こいつ。'くらいにしか思わなかったけれど、現在、女の子の過去を知った後で強く想った事がある。検事も裁判官も認めない、ただの犯罪者の言…

蝉日記。  続き十三!。

今まで、何とも思わなかった事が全て愛おしく思える。思えてくる。数日前までは外に居たはずなのに、すごく遠い、縁の無い世界で自分と関係を無くされた世界の様に思える。すごく懐かしい気持ちになる。 外の空気、外の仲間、外の食べ物、ごはん、外にあるは…

蝉日記。  続き十二!。

警察署の中の留置場の少年房は僕一人だけで、狭い壁と鉄格子だけの箱の中で、気持ちはとても痛くなった。それまでに自由って意識した事無かったのに、自由を強く強く意識した。痛くて心が本当に折れそうだった。 でも僕は、ここで、一人だけの壁と鉄格子の独…

蝉日記。  続き十一!。

「今日、私とやったのは私を減らしに来たの、君の言い方だと。それに女は減るけど男は減らないの、さっき私とやっといて私を磨り減らしたのに私に減るとか説教するのそれ、一体何なの。ただやりたいだけで今日、私と寝た君も今までの男達も金で女買う大人も…

蝉日記。  続き十!。

あと、汚れた自分が女の子の気を損ねて女の子と寝られなくなったら嫌だって言ってるのも少しあった。女の子は謝り続けてると、 「私はどうでも良いの。でもお母さんの事は悪く言われたくない。たとえ世の中や社会に私がどう写ってようとそんな私に優しい大好…

蝉日記。  続き九!。

真黒な空に月と星だけが光り輝いている。真黒な駐車場には自動販売機の人工的な光が女の子を浮かび上がらせていた。何もかも無意味な気分に、今なら現在なら思える。 「別に良いよ。でも君の部屋行かなくても私の家でも良いし。今、親いないから。」 そう言…

蝉日記。  続きハ!。

物や道具に想うのも想わられるのも嫌いで、人間は物や道具じゃないって反発してたのに、そして、それは男と女の意味でも同じはずなのに、僕も簡単に自分の欲望や都合で他人を物や道具と扱ってしまう、見てしまう、どうしてだろう。 やはり、人間は自分の都合…

蝉日記。  続き七!。

地面に座り込んで、ここが自分の居場所、居ても良い場所を感じてた。 その僕らの少し離れた所に女の子がいた。誰が連れてきたのかは解らないけれど、この駐車場で初めて見る顔で僕ら常連組にはいつもは見かけない女の子だから目についた。別にそんなに綺麗で…

蝉日記。  続き六!。

みんなはどう思っていたのかは解らない。たまり場にいる、同じ様な仲間も、人種を求めて淋しさから集まったやつ、頭にくる事があって怒ってそれを誰かに聞いてもらって欲しくてやって来るやつ、どうしようもなく悲しくて、意味もなく淋しくて、一人の様な気…

蝉日記。  続き五!。

卒業してからの僕は、何の目的も無いのに、道端に座り込み薬物に溺れているだけの毎日だった。高校にも行ってない。試験さえ受けず中学校を卒業するとそのまま、街のごみになっていった。 'この日日が続いたなら、何の未来も見えないな。'解ってはいたけど、…

蝉日記。  続き四!。

女達数人がみんなの、他生徒多勢の見ている前で女の子を全裸にした。数人で、嫌がる、泣き叫び、'許してください'と懇願する、'やめてください' '助けてください'って必死に涙を流す女の子を押さえ付け、笑いながら、笑いながら、笑いながら、女の子の性器の…

蝉日記。  続き三!。

だって、あのいじめてたやつらは、当時もだけど、今だって、一社会人、一般人を演じきれているから。自分のしてた事、過去はもう忘れて。 楽だよね、いじめてたやつらは。簡単に忘れられる。でも、傷つけられた女の子はいつまでも忘れられない。 いじめも助…

蝉日記。  続き二!。

小学生の子供がその瞳にどんなものを見てきたんだろう。小学生の女の子がそこまで追い詰められるのって、何だか泣けてくる。痛い。 現在の女の子を見ると逆に笑っている。僕は女の子を何度も何度も何度も抱きしめた。 人間は誰にも傷つけられるいわれは無い…

蝉日記。  続き一!。

それを見て笑う、その他多勢の同級生もいて、自分は直接いじめてないから、見てるだけだからって罪の意識は無くて、あっても、自分は可愛いもんね、隠し込んで、そんな小学生、そんなのが異常なのか、それとも案外人間の本質ってのは残酷さが本当なのか、よ…

蝉日記。  続き!。

人間は弱い者だと知ると、蹴って蹴って蹴りまくる。集団は標的を探すらしいけど、それって本当だ。どこにでもある平均的なあの街の何でもない小学校の教室でだってそうだったもの。 その女の子、何が理由でいじめられてたか解らない。たぶん、いじめてたやつ…

小説。  蝉日記。

『あなたは、いじめられた時、相手を憎いと思いましたか、それとも怖いと思いましたか、、、。憎いと思ったのなら、きっと強くなれる。怖いと思ったのならきっと優しくなれる、、、。だから負けてしまう、それだけはしないで、、、。』 小学校の教室で、先生…

子供達。

産まれてきた時は皆、白いのに成長する過程で一つ一つ欲望を覚えて汚れていってしまう。自然な人の生きてるって事だから仕方ないけど。 子供達は親も国も環境も選べない。そこで産まれてそこで自分の足で立てるまで生きていかなければならない。子供達が犯罪…

神と宗教。

人間の弱さ。人は弱いよ。だから神を創り出し宗教を創り出しすがる。救ってほしい、苦しみの解放、その人間の弱さがいろいろな神と宗教を創り出してきた。聖書の主張、仏教の教え、説く言葉は、その性善説は人の醜さも美しさも飲み込んでだ真実と思う。でも…

人間も動物。

人間も地球の中の動物。ただ知能が発達し過ぎただけで他の動物と変わらない。感情も発達したけど、その分欲望も発達して裏切りもいじめもあるよ。人間として生きて、何の為に生まれてきたのか、生まれてきた意味は、とかよく聞くけど、そんなものないのかな…

生きる意味。

生きる意味とか何の為に生まれてきたとか人は言うけど。