蝉日記。  続き七!。

地面に座り込んで、ここが自分の居場所、居ても良い場所を感じてた。

 その僕らの少し離れた所に女の子がいた。誰が連れてきたのかは解らないけれど、この駐車場で初めて見る顔で僕ら常連組にはいつもは見かけない女の子だから目についた。別にそんなに綺麗でも可愛くもないけど、駄目って訳でもなくて見た目はどこにでもいる普通の子って感じだった。

 けれど、だからこそ不良少年少女ばかりいるこの駐車場の中では目についた気もする。

 髪を茶色にしていたり染めてたり、暴走族やくず、薬物中毒ばかりのこの駐車場では、何か普通っぽい服を着て髪も染めていない一般の子って感じのするその女の子が目立って見えた。それに清潔な気もした。

 「あの女の子、誰だ。」

 盗みの仲間に聞いてみた。

 「知らないのか、お前、この街ではみんな知ってる女だぞ。」

 意外な言葉が返ってきた。そう返されても僕は本当にその女の子の事を知らない。

 その女の子には聞こえないように聞いてみる。

 「何であんな女が有名なのさ、別に不良でも無いに。一般人そのものやんか。」

どうせ、退屈ばかりで何にでも好奇心持っていたから。

 「そう言う不良とかとは別の意味で有名なんだよ、あの女は。誰とでも、本当に誰とでもどんなやつとでも、すぐやる女。寝る女。簡単にすぐやらしてくれるぞ。この街の不良の男、ほとんどあの女とやっとるぞ。この駐車場にいる男なんて皆やってるよ。見かけはあんな普通なのに。でも、すごいから、すぐやらしてくれるから。お前、知らなかったの。やった事ないなら、やらせてもらえば。」

 隣にいた盗みの仲間が教えてくれた。僕は聞く。

 「お前はやった事あるのか。」

 「あるよ、俺もやったよ。」

 そう言われて僕もその時は汚い男になっていた。その女の子とやりたいと思った。

 人間が人間の事、物や道具に扱うのが嫌いだったのに。