蝉日記。  続き六!。

みんなはどう思っていたのかは解らない。たまり場にいる、同じ様な仲間も、人種を求めて淋しさから集まったやつ、頭にくる事があって怒ってそれを誰かに聞いてもらって欲しくてやって来るやつ、どうしようもなく悲しくて、意味もなく淋しくて、一人の様な気がして、一人じゃないって思い込みたくて、その気持ちを忘れる為にやって来たり、家出して行き場の無い少女や、薬物欲しくてやって来る少年らも居て、みんなはどんな感情でそこに集まっていたかは解らない。みんな、一人一人に幼いけれど大きな理由があったんだ。

 だけど僕は、たとえ、それが偽物でも、一時的なものであっても、大人になる時、未来には偽物って気づいてしまう'暖かさ'であったとしても、そこに'暖かさ'を求めてやってきていた。

 二十四時間、駐車場の地面の上に座り込んで、何も話さないで、薬物に狂っているだけの少年。親や兄弟、家族にさえも話さない、話せない事を一晩中語りあっている二人組の少女。

 色んなやつが居て、みんな、この場所では冬なのに寒くなく、夏なのに暑くない気がしてた。

 その、車が二十台も入れば埋もれてしまう駐車場は、あの街の不良達の時間を独り占めにしていて、そこには'雨が降っても傘をささないでいられるよ'って強がれる少年少女達がいた。

 盗みの仲間達と一緒に僕はその日もその駐車場にいた。