小説。  蝉日記。

『あなたは、いじめられた時、相手を憎いと思いましたか、それとも怖いと思いましたか、、、。憎いと思ったのなら、きっと強くなれる。怖いと思ったのならきっと優しくなれる、、、。だから負けてしまう、それだけはしないで、、、。』

  小学校の教室で、先生、あなたはそう言ってくれたけど、先生、それって本当か。たくさん泣かなきゃ強くも優しくもなれないなら僕は負けてしまっても弱虫でもかまわない。

 でも、先生、良い先生だったよ。生徒の子供の気持ちを解ろうとしてさ。僕達と同じ目線でいてくれたよね。現代にめずらしい正しさ、残ってた、もってたよね。 

 だけど、先生、良い先生だったけど教室の片隅にある泣き声は聞こえなかったんだね。

 あの子はいつだって泣いてたのに。

 やはり、平均的な正しさでは何も救えない、何も見えない。それならばいっそ、きつい毒の方が救ってくれる。救ってくれるよ。

                    続く。