蝉日記。 続き一!。
それを見て笑う、その他多勢の同級生もいて、自分は直接いじめてないから、見てるだけだからって罪の意識は無くて、あっても、自分は可愛いもんね、隠し込んで、そんな小学生、そんなのが異常なのか、それとも案外人間の本質ってのは残酷さが本当なのか、よく解らない。
でもそう思いたくないって想う。僕だって言わなかった、言えなかった。助けられなくて、救えなくて、その勇気が無かった。教室中を敵に回してまで、その女の子を救えなかった。
自分が可愛い、小学生の子供にだってそう言うのある。
これ、今の、全ての街で社会で人びとが繰り返している事と同じだった。大人の今になって気づいた
。大人になった現在、あの頃を想うと、女の子が他の同級生の女からも男からさえも傷つけられて、傷口広げられても僕には他人事だった。
ごめんね、本当にごめん。自分が可愛くて、、、。
女の子は登校拒否だけはしなくて、あんな非道い事されてたのに、どんな酷い事されても、され続けても毎日学校には来た。あの頃の僕にはそれが何なのか強さなのかさえも解らなかったし、気にも考えさえもしなかった。
二十歳を過ぎて、今、女の子に聞いた。
「あの頃、何で逃げなかったの、お前強いよね、毎日学校来てた。」
女の子は強い、強い視線で答えた。
「解ってない。逃げたかったよ、毎日。怖かったし、辛かったし、何度も死にたいって想った。毎日家を出てから、このまま学校に行かないでどこかに行ってしまいたいって思ったよ。でも親に、お母さんには、いじめられてる事知られたくなかったし、言えなかった。私、学校にも教室にも、社会にも世の中にも他人にも優しくされた事なんて無いけど、私の家、すごく暖かくて、お母さんもお父さんも優しくてすごい良い人過ぎて、そんなお父さん達に、'私いじめられてる。お父さんが会社潰して借金返せなくて、たくさんの人や会社の借金返してなくて、泥棒って言われていじめられてる' って絶対言えなかった。悲しむから。言えば哀しむから。心配するだけだから。
あの頃は本当に辛かった。学校に行けばいじめに遭うし、それを親には言えないし、逃げ場も無くて死んでしまいたい時、何度かあって。でもその勇気も無くて。私、強くなんかないよ。」
一息にそこまで言った女の子。小学生の女の子が子供心に死んでしまいたいって何だろう。