蝉日記。 人間の醜い所も汚さも。二十二!。

僕は知りたいと思った。女の子のこと全部知りたいと。もしかしたら、多くの男と寝てきた女の子のこと、知ってしまえば、全てを知ってしまえば、痛い、苦しさ、辛さが、嫉妬で狂ってしまったり、女の子を傷つけたり僕も傷ついたりしてしまう怖さはあったけどそれでも知りたいって思った。

 街では女の子のこと噂するやつらがいる。女の子自身も言ってたけど、街では女の子のこと貶すの流行ってる。女の子と寝たくせに、女の子を悪く言う、心ないやつらがいる。どこかの大人みたいだ。そして、僕が、あの女の子のこと好きだってら、街の不良達は、昔の仲間は、あの女の子と寝た事ある多くの男達は笑うか。

 でも、笑いたければ、笑えばよい。誰かの目も他人の目も関係無くて、僕が女の子のこと好きならそれで良いんだ。そう、強く思える。

 ただ僕は自分に一つだけ不安がある。女の子の過去を許せるだろうか。女の子の過去に嫉妬したりしないだろうか。今は女の子のこと好きなんて思ってるくせに、後になって女の子のこと汚れてるなんて思ったりしないだろうかって不安になった。

 男って、そういう狡いところある。自分だけ傷つきたく無いって卑怯なところある。それに僕は、そんな女の子のどこが好きになったんだろうか。もっと綺麗な子や可愛い子はたくさんいるのに、もっと派手な子や汚れてない子だっているのに。

 特別に綺麗でも可愛くもない、地味な服装の誰とでも寝てしまう女の子のどこに魅せられたんだろう。

 でも、多分、解っている。わかっている。気づいている。多分では、くだらない僕は、女の子の弱さ、細さ、僕自身にも見える弱さにひかれたんだろう、と。これは同情なんかでは無い、と思いたい。

 そんな、想い、不安をくり返し、それでも僕は女の子と会ってみる。女の子の家に行こうって決心した。それは少年院を出て、十五日目、約二週間後のことだった。

 女の子の家は僕の家から近い。単車に乗って行かなくても歩いて行ける。それは一度、あの日行ってるから解っている。よく考えたら、同じ中学校の学区内ではないかって思った。

 決心した次の日、その日は火曜日で平日だったけれど、もしかしたら母親いるかな、居たら母親とは会いたくないな、とか思ったりしながら僕は朝から女の子の家である団地へと向かう。足は重く、そして軽く。

 僕の家から歩いて行くと、すぐに着いてしまう。