蝉日記。予定された雨。四十三!。

その頃になると少しだけれど二人の貯金ができたり、部屋の中に家具が増えたり電話も引いたりして、何か二人とも大人になったんだなって笑いあっていた。僕は幸せだった。

 だけどそんな幸せも壊れる時がやってくる。僕は、そして女の子もやはりついていない種類なのかな。

 僕達を壊していったのは一本の無言電話から始まった。明日も仕事を抱えて寝ていた真夜中の三時、一番最初の無言電話がきた。僕と女の子ね携帯電話の方ではなく家の固定電話の方にだった。女の子も僕も熟睡してた時にいきなりの電話の音が鳴り響いたから驚いたけど、明日も仕事だしって思って無視して電話を取らないでいた。いつか切れるだろうって思って。だけどその電話の音は鳴り止まない。親とかからの大事な電話かと思った時に無視していられなくなり、僕は女の子に「電話に出てよ、、、。」力無い声で言うと、女の子は仕方なくって感じで電話を取りに起き上がった。

 すぐに戻ってきた女の子に「誰から。」ときいてみると「無言電話。取ってもね、何も言わないの。」て答えてきた。

 その日はそれで寝た。だけどその日を境に僕と女の子への攻撃が始まった。無言電話は毎日かかってくる様になった。しかも真夜中に。回数だって増えてくる。相手も調子に乗ってるのか、一晩に十回以上もかかる様になった。もう、電話番号を変えてしまうか、電話線を引き抜こうと思ったけど親とかから急な連絡入ったり親とかに何で番号を変えたとか説明することを考えると、やっと最近僕に対して安心している親に余分な事は言えなかった。電話を音無しにしておけば良いのだけど、実は僕の中にこの毎日無言電話をかけてくるやつを捕まえたい、何で僕と女の子の築き始めた幸せを壊すのか、捕まえて殴ってやりたい気持ちもあった。そのためのたった一つの手掛かりと相手につながるのがこの無言電話だったから思い切って電話番号を変えたり音無しにしたり出来なかった。

 何も出来ず、無言電話のかかる度に、無言の相手に「良い加減で止めんと殺すぞ。」とか怒鳴ったりしても、相手は変わらず無言だったしこっちは一人で怒っているみたいで馬鹿にされた気になる。