蝉日記。 その思い出は痛くても愛しい。二十六!。

「逆もあるよね。男の人だって、もし自分が会社とかくびになってやめさせられたり、落ちぶれたりお金も無くなったり、住む家も無い貧乏になったり、事故で顔、醜くなったり、片足とか無くなっても昨日までと同じ様に'好き'って言ってくれるのか、今までと同じ様に、、、とか。」

 僕はそれを聞いて強く言った。

 「だから男も女もそういう人を探すんだろ、それかそういう絶対を永遠を育てて、築き作っていくんだろ、最初からなんて、無いよ。」そして今度は弱く言った。「意味が解んないよ。」本当は意味はなんとなくだけど解ってる。そして女の子に聞く。

 「僕の聞いてることの答えになってないよ。僕が聞いてるのは、僕と君って昔、会ったことあるの、あるならそれはいつってことだよ。」

 「答えになってるんだよ。君は、、、私の事、私の過去、'誰とでもすぐ寝る女'ってことしか知らないと思ってるみたいだけど、もっと昔の私を過去を知ってるはずだよ。私って汚れてる。色んな男の匂いがするよね、、、きっと。でもそれを解ってて君は少年院から出てすぐ私の実家に来てくれた。すごく嬉しかったよ。ただの私の感違いで、もしかしたらまた私と寝たいだけだったのかもしれないけど、それでも、忘れられてないって事が嬉しかった。でもね、私、もっと傷があるの。過去があるの。」

 小さな声で、でも、はっきりと女の子は言葉を声を続ける。

 「だから、それを思い出して、それを知ってもまだ私と話しをしたり遊んでくれたりするなら、今、君の携帯電話に私の番号出てるよね。私の事全部、解って、思い出して、その上で電話くれるならその時にまた電話して。そして汚れてるって思ったら、受けつけれない受け入れられないって思ったら、消して。忘れて。おやすみね。」

 女の子はそこまで一息に言うと電話を切ってしまった。僕は考えた。女の子は僕の事知っていると言う。昔から。そして僕も女の子の事を知っているはずだと。過去も知っているはずだと。

 つい昼間に女の子の家に行った日の夜の電話だった。すごく遠く感じる。