蝉日記。 本当の強さ。三十九!。

それを格好悪いと笑って、何もしないで、働きもしないで、そんな父親の身体を命を削る金で養われていたのに、笑っていただけの自分が一番格好悪いって今になって解る。

 僕も今、女の子との生活を作る為に働いている。仕事で疲れて帰ってもその部屋に女の子が待っていてくれるだけで嬉しい。存在が嬉しい。料理なんか全然作れなくて冷凍食品ばかりでも二人なら美味しかったりする。週に一度は休みが有る。隔週には土曜日、日曜日と二日間休みになる。お金があまり無いからそんな時一日中二人で寝て抱き合ったりしてる。たまには二人で遊びに行ったりもしる。 

 そしてまた、新しい一週間が始まる。工場で上司に怒られたりすると不貞腐れそうになるけど、我慢もできる様になった自分がいる。

 今日までの数年、いつだって自分が不良だって意識しててそれを誇りに思っていた自分だったのに、今は自分が不良だった事さえ忘れる時がある。

 僕は頑張った。頑張って働いた。女の子の方は最初、なかなか仕事が見つからなかったけれど何とか喫茶店での仕事を見つけてきた。近所の小さな喫茶店だった。

 女の子も女の子で、今までまともに働いた事無いんだろうな、慣れない仕事にとまどっていたど毎日元気に仕事に行く。

 僕は夢って言うものを持った事が無い。幼い頃、野球選手になりたいとか、歌、作ってうたいたいとかに憧れた事はあったけれど、本物の夢って、本気の夢って見ていない。持った事がない。見ようとも持とうともしなかった。ただ、何となく生きてきて小学校入って自動的に中学校入って、甘えて甘えて不良化していって、盗んだり殴ったり薬に狂ったり、あげくに少年院入れられて出てきただけの現在までだ。その間に本気で夢を見て本気で熱を出して、本気でやってみた事など何一つ無い。そのくせ、夢を見たい、夢を持ちたい、探したいって焦ってる時もあって、その想いのうらがえしか、あの頃は真面目な生徒を嫌っていた。笑っていた。