蝉日記。 人間が汚れる前に。三十四!。

「僕は何、、、。」

「お前、悲しい、哀しい、淋しいよ。」僕は言う。

 「哀しいのは君に見えるよ、私には。」

「そうだな、もっと哀しいのは僕の方かも。ても、もうやめてくれるよな。」

「私、今まで誰とでもすぐ寝ていて、みんな私とやってる時だけは優しいんだけど終わるともう優しく無い。どっか行っちゃう。淋しかった。いつか私は男から見て、寝る女であっても本気になれる女ではないって気づかされた。だったらさ、お金貰わなきゃ損だって考えるようになった。どうせ私なんて、私なんかに本気になってくれる男もいないだろうしさ、だったら、お金って。広くて綺麗な部屋に住んですっごい家具とか揃えて良い服とか高価な服とかもたくさん買って、お金もたくさんあって、、、。でも、さすがに本番するのに抵抗はあって風俗の店で働き始めたの。店なら本番ないから。でも最近は本当は自分の中でも少しずつ、'こんなの違う'って思い始めてる。馬鹿げてるって。後悔も少ししてる。でも今日まで続けてきちゃった。こんな仕事辞めようと思えばいつだって辞められるのに続けてきちゃった。辞めなかったのはお金が良いとか、楽してお金が入るとかもあったけど、もう、自分がどうなっても良いって気持ちもあったよ。どうせ本気で相手してくれる男の人なんていなかったし。どうせいつだって淋しいし、お金さえ有れば良いって思い始めてたの。そう思い込んで、お金で自分を騙して自分に言い聞かせて、毎日お店に行くの。'もう慣れたよ'ってふりをしてお客につくんだけど本当はいつまでたっても慣れなくて。だからまた、お金って無理にでも自分に言い聞かせて信じ込ませて、、、。ごめんね、こんな話しして。もう、辞めようかなあ。」

 弱い、弱いよね、この女の子。甘えんぼうで、甘える所も無くて。

 相手にしてくれる男がいないのではなくて、そう言う事するから遊ぶだけの女としか見られなくて、自分でそう言う方向にしてるのに。

 どうして、いつも、こんなに弱いんだろう。弱くて、一人で淋しがって一人で傷ついていく。本当は独りなんかじゃないのに。

 僕は「もう明日から辞めようよ。」と、それしか言わなかった。言えない。